浦和地方裁判所 昭和44年(ワ)912号 判決
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〔判決理由〕(一) 被告金剛が貨物自動車の架装工事の請負を業務とする会社であること並びに本件事故は、被告関東陸送の従業員である増田が同被告の業務の執行として被告金剛の指図に基づき、被告車を埼玉県与野市の被告金剛の工場から浜松市の工場まで陸送して行く途中において発生したことは当事者間に争いがない。
(二) しかして、<証拠>を総合すれば、次の事実が認められる。
1 被告金剛は、その業務として自動車販売店からの注文により自動車メーカーから未架装車を取り寄せてこれに荷台等の架装工事を施した後、これを注文者たる自動車販売店に納入しているものであるが、右業務の過程のうち、自動車メーカーから被告金剛の工場まで、および同工場から注文者までの自動車の陸送を自動車の陸上運送を業務とするいわゆる陸送会社に請負わせていたこと。
2 被告関東陸送は、自動車の右陸送を業とする会社であり、本件事故当時約一六、七名の自動車運転手を雇傭し、注文を受けて自動車の陸送を請負い、自社の運転手に命じて注文車を運転せしめ、注文どおりの場所から場所へ陸送し注文者よりその対価を得て利益をあげていたこと。
3 被告金剛が陸送会社に発する注文のうち、本件事故当時は約五割を被告関東陸送に請負わせていたが他の陸送会社三、四社にも請負わせていたこと、被告関東陸送の請負つている仕事のうち約七ないし八割は被告金剛の注文によるものであつたが、他の会社からも注文を受けていたこと。
4 被告関東陸送は、その従業員五、六名を被告金剛の工場内にある運転手控室に常駐させていたが、その中の一人を責任者と定めており、被告金剛は、仕事の発注については原則としてまず被告関東陸送の事務所に電話で発注し、その後に被告金剛の運転手控室に詰めている被告関東陸送の責任者に口頭で指示しており、被告関東陸送の事務所に事務員がいない場合には、直接右責任者に発注指示していたこと、しかし運転手の選任、陸送の経路等については被告金剛は一切干渉せず、被告関東陸送自らがこれを決定していたこと。
5 被告金剛と被告関東陸送との間では役員の交流は一切行なわれていなかつたこと。
(三) 右認定事実と前記争いのない事実を総合すれば、被告金剛と被告関東陸送とは、その業務、資本、人事、会計等において全く別個独立した会社であり、両会社間には企業組織上の支配関係はないことが認められるうえ、被告金剛は、本件被告車の運転手であつた増田に対する指揮監督権はないものと認められるから、被告車の運行利益および運行支配権はいずれも被告関東陸送に専属しており、被告金剛には右いずれも帰属していないものというべきである。従つて、被告関東陸送は、被告車の運行供用者であることは明かであるが、被告金剛は、被告車の運行供用車ということはできない。
なお、<証拠>によれば、自動車メーカーから被告金剛の工場、および同所から注文者までの陸送についての行政庁に対する手続、保険手続等は被告金剛が行なつていたことが認められるが、右事実のみをもつてしてはなお前記判断を覆すに足りず、他に被告金剛が被告車の運行供用者であつたことを認めるに足る事実および証拠はない。 (須賀健次郎)